日本語がほとんど喋れない人が先輩になったときに気をつけたこと

ボラバイトで北海道の牧場に行って、日本語がほとんど喋れない人が私の指導担当(先輩)になりました。私が仕事を覚えきれていない最初の3日は特に辛かったのですが、1週間で慣れてきたので振り返ります。(まだボラバイトは終わってないです)

チーム構成

日本人のリーダー、ベトナム人の先輩2人、私(新人)で、職場の公用語は日本語です。

先輩2人の日本語は最低限の単語(できる、違う、教えるなど)が言えるけど、焦ると日本語が出てこなくなり、あれそれの指示語が多くなるレベルです。

苦労したこと

仕事の目的を教えてくれない

仕事の手順を教えてもらうときに「なぜそれをやるのか」を伝えられないまま、次はこれ!次はこれ!と教わったため、手順を覚えるのに苦労しました。例えばバケツに水を貯める作業が何回かあるのですが、あるときは冷たい水、またあるときはお湯入れる。それを教わるときは次はお湯入れて!次は水入れて!と言われるだけだったので頭の中で記憶として紐付けるのが難しかったです。日本人のリーダーがその場にいれば、お湯だとタオルが臭くなるから水にしている、などの理由を教えてくれました。

先輩たちが仕事の目的を教えられない理由は、まずそれを伝える日本語が拙いので省略しているから。あとは本人も目的を理解していない場合もありました。仕事に余裕が出てきた4日目ぐらいに、なんでこうするの?と聞いたら「こうやって教わった。分からない」と言っていました。とほほ。

見せるだけでポイントを教えてくれない

仕事はほとんど見て覚える式なのですが、どこを見てほしいのか、何がポイントなのかを教えてくれないので、見様見真似でやってみても合ってるのか分からず…感覚を掴むのに苦労しました。とりあえずやってみる→「違う!」と言われて見せらる→やってみる→「違う!」…を何度か繰り返して、やっとコツを掴めることが多かったです。

例えば、洗車機を使って牛の搾乳室を洗う仕事では、牛を識別する機械を濡らさないように注意する必要があるのですが、これは水が飛び散らないように対象に洗車機を近づけて噴射する必要がありました。しかし、見様見真似ではそのコツを習得することはできず、結局、日本人のリーダーに使い方を教わりました。とほほ。

固有名詞で指示してくれない

指示は物の名前ではなく、青いの!白いの!これ!あれ!と言われることが多く、近くにいれば理解できるのですが、2mぐらい場所が離れると何が言いたいのか分からないことが多くて苦労しました。また、自分の日本語の指示が私に伝わらないと舌打ちをされたり、大きな声で何度も同じこと言われました。別の表現に言い換えられないので、ただ感情をぶつけるしか選択肢が残ってないんだろうなぁと思います。とほほ。

動詞の変形が使えない

やって。やる。やった。ぐらいは使えますが、細かいニュアンスの動詞の変形が使えないので私の方で常に脳内変換する必要があり今でも苦労しています。例えば、前日に教わったことを「覚えてる?」と聞きたいのに、「覚える?」と聞かれるので、私はこれから新しい仕事を教わるんだと考えたのですが、結果は確認の声掛けでした。とほほ。

気をつけたこと

気持ちで負けないために声を出す

これが一番大事ですが、先輩たちは自分の指示が伝わらないことで不機嫌になる人たちなので、気持ちが押し切られちゃうと相手のペースに揉まれ、焦ってしまいます。その対策として私は「はい」「わかりました」「ありがとうございます」などの掛け声を大きく出し気合いを入れていました。気持ちを対等に保っておくことで冷静になれます。

慣れてくると相手の日本語が聞き取れないときは「どれ?どういう意味?」と聞き返せるようになり、それも相手のパワーに負けない気持ちで声を出していました。

何が言いたいかを聞き取ることに集中する

声が大きい、語尾が強いなどの表現方法は無視して「この人は何が言いたいのか?」だけを聞き取ることに集中しました。そうすると多少表現がキツくても、言いたいことが理解できれば「了解👌」という気持ちしか生まれなくなりました。

復唱して確認する

相手に伝わってるか分からなくても、こういうこと?と確認するようにしていました。そうすると大体「うん(合ってる)」的なことを言ってくれます。もちろん「うん」と言われても合ってないことは多々ありましたが、たまに間違ってる場合は「違う!」と言ってくれました。

今なにしたら良いのか聞く

先輩は私がミスしたことに対して「これ間違ってる!」「こうするんだよ!」的なことを教えくれますが、教わったあと、私はこれから言われた指摘を修正するの?自分の仕事に戻っていいの?と迷うことが多かったです。なので相手の話を聞いたあとは「今なにすればいいの?」と聞くようにしていました。そうすると「やって」と言われて、自分の仕事に戻れることが多かったです。

確認するときは熟語を使わない

例えば先輩がジェスチャーで洗車機の噴射を端から端まで往復してほしそうな指示をされた場合、確認で「往復」という熟語を使っても多分伝わらないので、私も端と端を指すジェスチャーを交えながら「こっちに行って、こっちに行くってこと?」と聞くようにしてきました。

辛いときの対処法

泣きましょう。友達に愚痴りましょう。

感想

日本語が拙い人が部下ならまだしも、先輩の場合はもう二度とやりたくないと思いました。話すときは私が相手の日本語を脳内変換をするので、常に集中力と強い気持ちも必要です。また、慣れないうちは感情をぶつけられるのも心がやられました。

今はもう1週間、この牧場で働いて仕事を覚えてきたので先輩たちに注意されることも減りましたし、話しかけられても何が言いたいか理解しやすくなりました。よかった。辛かったことも含めて良い経験でした。