おすすめ書籍:正義の教室

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本との出会い

コロナがこんなに長引くと思ってなかった今年の3月、映画をみた帰り道にさくっと立ち寄ったヴィレヴァン@松山で出会いました。本屋でビビッと買いはほとんどしないのだけど、表紙の「30 人の幼児と自分の娘、どちらを助ける?」の問いに自分が答えられなくて、正解が知りたくて買っちゃった本。

30 人の幼児と自分の娘、どちらを助ける?

非番だった日「娘が体調を崩したから迎えに来て欲しい」と保育園から連絡をもらう、職業:消防士の父。迎えに行ってみると保育園で火が出ていた。父は娘を助けるため、迷うことなく火の中に飛び込み娘のいる部屋に向かうが、途中 T 時路にぶつかった。右はたくさんの子供たちがいる保育室(しかも子供たちの絶叫が聞こえる)、左は体調の悪い娘がいる救護室だ。時間的に助けられるのはどちらかしかなく決めなくてはならない・・どちらを助けることが正しいのか?

プロローグの要約。
もちろん本にはどちらが正しいか?は書いておらず、自分だったらどちらの選択が正しいと思うのか?が突きつけられる…。つらい。だからこそ、そもそも正しいって何?正義って何?を求めて本を読み進めたくなる。素晴らしいプロローグ!

ざっくりストーリー

登場人物は4人の生徒会メンバー、主人公の「正義」と3人の女子高生「千幸」「ミユウ」「倫理」。生徒会によせられる苦情に対して、どう対処するべきか?そもそも問題なのか?を議論するんだけど、千幸、ミユウ、倫理の意見がバラバラすぎて話が進まない日々…。
そんなとき、倫理の授業で「正しさの判断基準は3つだけ」と教わる。

  • 「平等の正義」を実現するための「功利主義
    → 最大多数の最大幸福になるようにすれば OK
  • 「自由の正義」を実現するための「自由主義
    → 他人の自由を侵害しない限り自由にやって OK
  • 「宗教の正義」を実現するための「直感主義」
    → 良心に従って道徳的な行動をしてれば OK

「正義」は千幸が功利主義、ミユウは自由主義、倫理は直観主義をもとに正しさを主張していたことを知り、意見が食い違う理由に納得する。それから倫理の授業を通して1つ1つの主義の歴史を振り返りながら良い面・悪い面を議論し、正しさとは何かを考えていく。

感想

焼きそばパンの転売は問題か?

生徒会で対処する1つ目の話題。「購買部に一番近い教室の生徒が人気の焼きそばパンを買い占めて、50円上乗せで他の生徒に売っていることについて」これは問題?

焼きそばパンの転売

私はこういう転売行為にモヤっと。購買で誰も買わないパンを需要のある別の場所で転売するならまだしも、定価で焼きそばパンを買いたい人がいるにも関わらず転売する行為はなんか嫌だなぁと思う(私のモラルに反する)。でもこう思えるようになったのは実際に自分が過去に転売業をやってみて感じたからで、転売業をやっていなければ今でも転売?別にいいじゃんって思ってた気がする…。また、自分はやりたくないけど他人に対してまで「それは正しくないから辞めるべき!」という強い主張もなく、それでうまく回ってるなら自由にやればというスタンスは強い…。

なので、千幸が「購買部のおばさんは焼きそばパンが全部売れてハッピーだし、転売する人も儲かるし、多くお金を出しても食べたい人は食べれてハッピー!だから正義だよ!」って主張には違和感覚えるけど、ミユウさんの「自分のお金で何をどれだけ買うか?買ったものをどうしようが自由じゃん。」って主張はとても頷ける。けど倫理が最後に言った「他者の事情につけこみ、お金を得ること『だけ』を目的として経済活動を行う、これに私たちは不正な感覚を覚える。」というセリフは私のモヤっとを言葉にしてくれてる気がするけど、倫理ほど他者を否定する材料にはできない。正義くんと同じ立場…😂

わたしのこと

もちろん時と場合によるけど、私は自分の選択を他人に侵害されたくないと思ってる分、他人の自由(選択)を侵害したくない、自由主義的な発想を押してると思う。昔はもっとこうした方がいいよ!って自分の体験に基づくことを強く他人に主張してたけど…その時は私の幸福基準に準拠した功利主義だったのかもしれない🤔

今、テックプレイ女子部コミュニティのオーガナイザーをやってるんだけど、それはかなり自由主義に寄ってそうな気がしたので、自由主義だと仮定して良い面・悪い面を考えてみるのは面白いかも。あと運営含めコミュニケーションし合うチャットスペースを基本オープンにしてるんだけど、それってパノプティコン(監視状態による端正)的な形になってるような気がする。監視社会って生きづらいイメージだったけど、そもそも監視し合うメンバーがギュッと小さいと逆に心地良さ(平和な感じ)をもたらすのかもしれないなぁ。

最後に

おすすめ本 Advent Calendar 2020 2日目です。
久しぶりに読み返しても考えさせられる本で、この記事を書くにあたり改めて振替れて楽しかったです。